より良く生きる

オナ禁など禁欲生活をしています。事の本質を見極めてどうすれば人は心地よくいられるのかそんな事を考えてます。

自作短編小説 「生きる屍」

 

他の人間と気持ちを分かち合えない感覚は辛い。
何が辛いのかって?
理解者はいないのだ。
無力感すら感じてくる。
自分はいてはいけない存在ではないだろうかと時々思う。
周りが気になる。
なぜなら自分は普通じゃない。
当たり前を生きる人と違って自分は当たり前を生きてはいけない。
だから普通に振る舞う為の仮面を作る為に普通の人のモノマネをする。
普通になりたい。
それだけなのに。
考えてる時点で違うんだ。
自分は自分でしかない。
自分ではない自分を作った時には自分はどこへ行ってしまったのだろう。
自分じゃない自分はもはや誰でもない。
失敗した時に気付く。
だけどどうすれば良いのだ。
悩んだ挙句にたどり着く答えはこうだ。
「生きねばならない」
また仮面を作って次第に誰にも分からない素顔はなくなり仮面だけが取り残される。
宙に浮いた仮面は自分が仮面であることを知らない。
自分が熱を持たない物質に過ぎないのだと。
熱を感じた時にまた仮面は剥がれてしまう。
さらけ出された素顔は見せられない。
誰にも言えない何かがある。
そこには体がある。
今まで存在していなかった気がする。
中身は空っぽの表面だけ見せかけの立派な体が。
悩む。
「自分は何者だ?」
内部に問いかける。
押さえ込んでいた思いが押し込めたゴムボールの様に跳ね返しあふれ出て来る。
今まで思い詰めていたなにかが解けて勝手に納得する。
そして俺はよくも今まで生きてこれたものだと感心する。
「自分は生きている」
この感覚だけが自分をこの世と繋ぎ合わせているのかもしれない。
「今回はいつまで生き続けられるだろう」
自分だけで得られる命はとても儚い。
途絶えた時に吹き返してくれる人は誰もいない。
こうやって自分はいくつもの過去の自分の屍の上にいる。
屍を見てそれが何なのかよく分からない。
自分の形をしたタンパク質の塊。
魂は今自分に宿っている。
分離した屍は自分の一部として機能しない。
「誰かそこにある俺を持ってくる人間はいないのか?」
その自分を知る人間はいない事を思い出す。